STEP 1 なぜむし歯ができるの?

むし歯になる原因!
ミュータンス菌って?

お口の中には ミュータンス菌 がいます。
このミュータンス菌が、食べかすなどに含まれる糖分を分解して酸性の物質をつくります。酸性の物質は歯を溶かしていき・・・これがむし歯の始まりです(=脱灰[だっかい])。歯の表面はとても硬いエナメル質でできていますが、内部にあるやわらかい象牙質まで進むと、どんどんと歯が溶けて、むし歯が大きくなっていきます。
丁寧に歯みがきやフロッシングをしても、食べかすや汚れは完全には取り除けません。
また、 バイオフィルム というミュータンス菌をはじめとする細菌のかたまりは、歯医者さんによるプロフェッショナルケアでなければ取り除けません。
お口の中は、常にミュータンス菌が酸性の物質をつくりやすい環境にある。つまり、 酸性になりやすい=むし歯ができやすい のです!

ミュータンス菌は酸を出して歯を溶かしていきます。
このまま放っておくと、むし歯につながります。

歯は自分で自分を治している?!

では、すぐにむし歯ができないのは、なぜでしょうか?
実は歯の表面は、ミュータンス菌が出す酸性の物質により表面が溶かされる脱灰とだ液が仲介するミネラル分による表面の修復=再石灰化[さいせっかいか]を繰り返しています。
簡単なイメージで言うと、歯は酸の攻撃で弱くなったところを、だ液の力を借りて、自分で自分を治しているのです。
ところが、

  • 「お口のケアが不十分であったり」
  • 「食事の回数が多かったり」
  • 「糖質の多い食べ物をよく摂取したり」
  • 「だ液があまり出なかっり」

・・・と、脱灰が再石灰化を上回る状態が続くと、修復が間に合わなくなってしまい、むし歯になるのです。

この再石灰化を助けるのがフッ化物イオンです。フッ化物イオンは、むし歯予防に効果的な役割を果たします。
これについては、STEP2 「Giomerってなに?」 で詳しくお話します。

歯はいつも脱灰と再石灰化を繰り返しています。
むし歯にならないためには、
再石灰化が脱灰を上回る状態をつくることが大切です。

乳歯のむし歯は
放っておいても大丈夫?!

乳歯がむし歯になっても「乳歯が抜けて大人の歯(永久歯[えいきゅうし])が生えてくるから、痛くなければ放っておいて大丈夫」なんていうのは大間違い!!
たとえば、むし歯がひどくなると、歯の神経にまで細菌の汚染が進んで痛みが止まらなくなります。こうなると、痛みを伝えている歯の神経を取り除く治療(=抜髄)が必要です。
すると、抜髄ばつずいをした乳歯の後に生えようと準備していた永久歯は、「異常」を察知して、乳歯の下に奥深くに埋まったまま生えてこなかったり、本来生えるべき部分ではないところに生えてしまうことがあります。

永久歯がいつまで経っても生えてこない、歯並びが悪くて噛めない、歯がヘンなところに生えてきた・・・など、成長発達期に深刻な事態を招くことがあるので、乳歯のむし歯を放置するのは厳禁です!!

乳歯のむし歯には次のような特徴があるので、
ご家族の管理と歯科医院での定期健診を心がけてください。
  • 一度に多くの歯がう蝕に罹患する「多発性」
  • 乳歯は、エナメル・象牙質の厚みが永久歯の半分であり、単に脱灰だけでなく構成として有機成分が多いために酵素で分解が進むことが原因である「急進性」
  • 細かったり、複雑な形をした歯の溝など、むし歯になりやすい部分がある。
  • 早く生える歯からむし歯になりやすい年齢的変動が見られる。
  • 痛いのか、痛くないのかはっきりとわからず、お子様が「痛い」と家族に訴えてきたときには、歯の根の先までむし歯が進んでいるので、治療するには手遅れになってしまう場合が多い。

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